実質的な最終ミッション。
キプロスの病院で目覚めたスネークが脱出するまでを描く。
ミッション前後のカットシーンではヴェノムスネークの真実に迫るが、実際に操作するところはほぼ『序章:覚醒』と変わらない。
あくまでプレイヤー=ヴェノムスネークということを念押しする意味なのだろうが、肩透かし感があったのは事実である。
真実とは、プレイヤーの分身たるスネークが実はBIGBOSS本人ではなかったというもの。
先に覚醒していた本来のBIGBOSS『ネイキッドスネーク』に代わってBIGBOSSに成りきるという計画だったのだ!
ナ、ナンダッテーー!?
病院で覚醒するシーンではBIGBOSSのファントムであるヴェノムが2枚の写真を見るシーンがあったが、そこに写っているBIGBOSSの隣には自分の顔をした男が写っている。
そしてACCのヘリ内にはその写真が貼られており、なぜか右端だけ折られているのが気になっていたんだよ!
伏線とは大胆に張っておくものだ。写真のウラには「Good Luck #### VicBOSS」とのサインが。
おそらくグッドラックのあとの名前はプレイヤーがアバターとして名づけた名前がはいるのだろう。
つまりこれはヴェノムが「うっわー! ボスからサインもらっちゃったよ! ヒャッホー!」とものすごく大切にしていた思い出の品に違いないのだ。
ヴェノムはグラウンドゼロズのころにメディックとしてヘリで待機していた隊員だった。
彼が優秀かつ、BIGBOSSに対して並々ならぬ忠誠と信仰を持っていたのは、パスに埋め込まれていた爆弾から身を呈して守ったことからも伺える。
(カットシーンをよーく見ると、たしかにスネークの前に誰かが割り込んでいるのがチラりと見える)
ヴェノムがBIGBOSSのファントムとなる経緯はのちに語られるのだが、これで今までの不可思議な光景にも説明がつく。
BIGBOSSのクローンであるはずのイーラィが遺伝子レベルではファントムとまったくの他人であったこと。
他には『燃える男』がファントムをその手にかけようとしたときに中止したのもなんとなく察せる。
ザ・ボスのAIがスネークに対して微妙な態度を示したことや、ヒューイを確保するときにファントムが無意識的に「エメリッヒ博士」と呼んだことなど。(おそらくMSF時代にはそう呼んでいたのだろう)
真のBIGBOSSは元来言語に対して高い適応力を持っているという設定は、ファンにとっては既知の話だ(ピースウォーカー時代にはなんとネコ語すら瞬時に習得していた)
だがファントムはそれほどでもなく、ロシア語やアフリカーンスの通訳を必要としていた。
(これには脳の言語野に影響が出ているという設定が与えられている)
ひとつ気になるのは、スネークが覚醒したときの『強い報復心』によって『浮遊する少年』の特殊能力が爆発的に開花したということだが、それがネイキッドのものだったのか、ヴェノムのものだったのかゲーム中ではイマイチわかりづらいままだったことだ。
もしかしたらBIGBOSSは9年前の事件がありながら強い報復心を抱いていなかったかもしれない…。
逆にヴェノムはカズヒラと違って強い報復心を持っていないような素振りをしながらも、人一倍サイファーやスカルフェイスに復讐したかったのかもしれない。
このあたりは『死して尚も輝く』や、このミッション後の最後のムービーで、鏡越しの『血塗れの鬼』を破壊するシーンから推察するぐらいしかできない。
#53 真実の記録19年のあいだに何があったのか普段からスパイをしていたオセロットがダブルシンクを使うのはまぁ分かる。
だが、いきなり主人公たるヴェノムに「お前がBIGBOSSだ」と刷り込ませ、体験させ、教育するというのはさすがにどうなのか。
できるのかそんなこと? と言いたくなるが、できてしまっているという設定なのだから仕方ない。
ヴェノムの実力はBIGBOSS自らが保証しているし。 きっと芝居もうまいんだろう。
ゲーム中では最後の最後でファントムが真のBIGBOSSからのカセットテープを聞いているシーンがあったが、それまで自分がファントムであることを意識すらしなかったのだろうか?
(話は脱線するが、BIGBOSSから「俺たち二人でBIGBOSSだ」と言われたときのヴェノムの嬉しそうな顔が実にいい。 「やっべー今オレ絶対顔ニヤけてるよォ!」って感じでw)
オセロットがBIGBOSSに9年間の経過を話すものが多く、やはり9年ほど意識不明のままだったのは間違いないようだ。
てっきり本物はさっさと起きて身を隠し、どこぞで暗躍しているのかと思っていたが・・・
(もしかしたら実はこのBIGBOSSもファントムでファントムのファントムがファントムな…っていう無間地獄に落ちる可能性もMGSにはあるのだ・・・)
#54 真実の記録2ファントムの影の薄さはガチ9年前のMSF襲撃事件のあと、ゼロが情報戦によってスネークの生存を隠し、キプロスへと移させた。
このときファントム候補としてヴェノムも同時に転院させられたのだろう。
その後、自らがオセロットやカズヒラに連絡を取ってまでもスネークの保護に注力するあたり、やはり固い絆があったことは確かなようだ。
ピースウォーカーではパスと直接会ってまでも、スネークを引き戻そうとした。
それが結果として計画が破綻し、グラウンドゼロズ、ひいては自らの命を危険にさらすという最悪の結果を招いたのは皮肉にもほどがある話だ。
こうしてゼロが失踪し、サイファーは中枢を失ったままシステムだけが動き続けるようになるのだが・・・
やはりシギント(ドナルド・アンダーソン)がシステムを継承したのだろうか?
TPPから初代メタルギア、そしてMGS1までの話はオレにとってはまだまだ未知の領域。
あれからヒューイやイーラィはどうなった? とか、BIGBOSSとBIGBOSSファントムがFOX HOUNDとOUTER HEAVENを設立する経緯はどうなの? とかめっちゃ気になるゥ!
ということで、メタルギアシリーズにとって中枢であった小島カントクとコジマプロダクションがいなくなった今、MGSという『遺産』は誰が引き継ぎどう使われていくのか、ゲーム外のところでも気になるところである。